HITOSAJI

小さな南の島からくらしのひとさじ

願いが叶った

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コケコッコー!鶏の鳴く声で目覚める。まだ6時前だ。

漆黒の中でランタンだけの灯りがぼんやりとあった竹製のロッジに、新鮮な朝日の光が、朝を伝える。島に住み始めて、やりたかったことのひとつ、お客さまにヨーガのクラスをするということ。

カオハガン島の西側に位置する砂州、ポントグで行うヨーガはとても気持ちがいい。まだ高く位置していない太陽は、優しく私たちを照らしてくれている。島民の寝具、バニッグと呼ばれる、パンダナスの葉を加工して編んだゴザをヨガマットサイズにオーダーし、使用し始めた。表裏二重に編み込まれているので、見た目よりもふかふかしていて安心感がある。自然素材を生かすことで、大地により近づけるのだ。

まずは仰向けに寝転がり、リラックスのポーズ、シャバーサナーを行う。目を閉じて、体を控えめな大の字にし、ゆっくりと深く呼吸を繰り返していく。大地に身を委ねて、せわしなく動かしているマインドが鎮まるのを待つ。風が静かに顔や体に触れてくる。閉じた目の奥で太陽がますます輝き始めている。

犬がペロリと足を舐めてくる。自分の外側で色んなことが起こるが、気にしない。呼吸だけに意識を向けていく…。これだけでも十分気持ちがいいのだが、その後、ゆっくり体をほぐし、ヨーガのポーズに入っていく。最後にもう一度、シャバーサナーを行う。凝り固まった筋肉がほぐされ、滞っていた血管がスムーズに流れていく。体の中のたくさんの微細なものが、健やかに活動し始めるような感覚。ひとつの丸の中に、自然と自分が一体になって、うまく収まっている。この心地よさが、カオハガンの魅力のひとつなのだ。

お客さまと一緒に朝食をいただく。温かいフレッシュカラマンシージュース、ベーコン、卵料理、ご飯、フライドポテト。島民は朝に温かい飲み物を必ず飲む。温かい飲み物は、寝ている間休んでいたお腹の準備運動に最適だ。お客さまと楽しく会話しながらの食事はとても楽しく、日本の家族と離れて暮らしても、さびしく感じなかった。多くのお客さまは、飛行機の時間に合わせて、朝にチェックアウトする。ボートに乗り込むお客さまをお見送りする際に、「ずっと島にいれていいね。」と、羨ましがられることもあり、確かに、ずっとお客さまをお見送りする側に来たのだと思うと、なんだか嬉しくなった。

たくさんの方に出会い、お話をし、自然の中でヨーガをし、新鮮な食事を頂き、感謝の毎日だった。自分の中の小さな願いが叶い、島に住み始め、のんびりとした空気の中、肌の色が黒くなったり、現地の言葉であるビサヤ語の単語が言えるようになったり、現地スタイルの汚れに慣れてきたり…色んなことが変化していく。

なぜ、願いが叶ったのか。不思議なことに、私の人生の中で、強く願っていたことは、ほとんどのことが叶っている。そして、その多くが人生を変えるような重大な動きのときにやってくる。

よく、いろんな方に「移住するなんて、勇気がありますね。」と、言われる。私はいつも「何も考えてないからです。」と答える。本当にそうなのだ。勇気を振り絞ったのではなく、「今、こう進むべきだ!」と、感じとった自分が、直感的に行動した。そこからどんどん新しい世界が広がっていく。その後のことは考えない。

直感を感じる自分は、とても重要なときに降りてくるようで、それが叶うならば、今あるものを失っても構わないという覚悟も備えているようだ。自分も知らない自分が動き出していく。そんな自分が人生の舵を握っているのだから、不思議だ。そんな幸運なことにも、カオハガン島に出会い、その願いが叶った私には、きっとここに来た使命があるのだと信じている。